Accounting

監査人にもオススメのセミナー「棚卸資産の不正事例分析と平時対応」

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

先日、X(旧Twitter)で、財務諸表監査の現場では不正リスクのシナリオ検討をネガティブに捉えているツイートがありました。このツイートを見たときに、以前、それを感じさせる経験をしたことを思い出しました。

それは、接点のない監査法人の方と「不正リスクのシナリオ」について話していたときのことです。不正リスクのシナリオについて、あまり深く考えていないような印象を受けました。

不正リスクのシナリオ、つまり、不正に関する仮説の構築が漠然としていると、対応手続が定まりません。こちらは、前の職場で、不正検査士や不正調査のアプローチを徹底的に研究したうえで、平時における不正リスク対応をメソッド化していたことから、「不正リスクのシナリオ」とは「いつ、どこで、誰が、何を、どうする」レベルまで落とし込んだものを想定していました。ここまで具体化しないと、個別直接的な対応手続を実施できないからです。そこで、その言葉の指す内容について共通した認識がないことが理解できました。

 

遡ること、2015年。この年に発売した共著『会計不正~平時における監査役の対応』では、監査人以外の方にも不正リスク対応が実践できるようにと、「仮説検証アプローチのクイックバージョン」を提供しました。これは、特段、会計不正がないような状況において、有事のアプローチをどう活用するかをツール化したものです。この書籍で説明しているアプローチの考え方やツールは、不正リスクのシナリオ検討をネガティブに捉えている監査現場の方々にも役立つものでしょう。

しかし、このツールは、昨年の2023年に「仮説検証アプローチのクイックバージョン2.0」として大幅に改訂しました。作成ステップを極限まで削減し、また、書き込みもより容易にしたものです。会計不正の検証手続を実施する際に、効果的な時期の選定について、日米の実証分析の知見を活用することも提案しています。

そんな最新のツールや解説について、2024年3月1日、セミナーを収録してきました。そのセミナーのテーマは「棚卸資産の不正事例分析と平時対応~平時における仮説検証アプローチのワークを含めて解説~」であり、また、その主催は株式会社プロネクサスさんです。2016年から毎年、棚卸資産の不正に特化したセミナーを行ってきたため、今回が9度目の開催となりました。

 

分析にあたっては、不正のトライアングルのうち「機会」に焦点を当てています。なぜなら、「動機・プレッシャー」や「姿勢・正当化」は心のあり方に関わるため、対応に限界があるからです。また、これらは人を替えるような解決策が導かれやすいものの、それは必ずしも根本原因の解決につながらないことがあります。一方で、「機会」の観点から自社の状況を検討すると、統制のなさや弱さを理解しやすいため、対応策がより具体化しやすくなります。

そうした観点から分析してきた不正事例は、毎年、最新のものを3つ取り上げてきました。これにより、棚卸資産の会計不正の手口を行うことができた機会、つまり、統制のなさや弱さを明確にすることができました。また、再発防止策においても統制の不足を補う方法についても注目してきました。

もし、財務諸表監査の現場で不正リスクのシナリオに立案にお悩みの場合には、ぜひ、このセミナーのアプローチやツールの活用を検討してみてください。企業向けのセミナーでありながら、監査人にも役立つ内容となっています。

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