2025年3月、日本初となるサステナビリティ開示基準が姿を現しました。これまでの開示慣行の延長線上では太刀打ちできない、新たな「開示の作法」がここに求められています。その作法をルールとして明文化したのが、サステナビリティ開示ユニバーサル基準「サステナビリティ開示基準の適用」、いわゆる「適用基準」ですね。
これはいわば、開示の基本設計図にあたる「総則」のような存在ですが、油断してはいけませんよ。単なるイントロと思って読み始めると、いきなり情報量の濁流に飲み込まれる羽目になります。何しろ、第一階層の見出しだけで22項目ですからね。中でも実質的な要件が含まれる項目は18に及びます。
最大の問題は、その「並び」にあります。それぞれの見出しが並列されているため、どれが起点で、どれが帰着点なのかが見えない構成なのです。まるで、地図のないまま登山に出発させられるようなものですよ。それでいて、道中には岩場や急斜面もあるわけですから、実務の現場が混乱するのも無理はないでしょう。
なぜこうなってしまったのか。その答えは「整合性のための犠牲」にあるのです。