FSFD

ESRSとISSB基準:サステナビリティ開示が切り拓く競争優位の新次元

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

グローバル企業のサステナビリティ開示は、いまや欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)と国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)基準という二大潮流を中心に動いています。両者はいずれも産業横断的な開示に加え、産業別の情報開示を求めている点で共通しています。しかし、その制度哲学は驚くほど異なります。

この相違は単なる技術仕様の違いではありません。むしろ企業が「どの情報を価値に変えるか」「どのように競争優位を築くか」という戦略設計の前提条件そのものに影響を及ぼします。言い換えれば、制度哲学を理解せずに開示戦略を立てるのは、地図を持たずに山登りするようなものです。

そこで本稿では、ESRSにおけるセクター別基準の制度的背景を歴史的経緯から解き明かすとともに、これをISSB基準の産業別ガイダンスと対比します。そのうえで、両制度がもたらす情報価値創造メカニズムの差異と、企業戦略への実務的インプリケーションを導き出します。

 

「予想される財務的影響」をめぐる制度設計の岐路 ― ESRS改正案が突きつけるサステナビリティ開示の本質前のページ

40年の沈黙を破れ!後発事象セミナーで「企業の説明責任」を果たす一歩を次のページ

関連記事

  1. FSFD

    ISSB産業別ガイダンスが仕掛ける「選択という名の義務」

    2025年7月、IFRS財団が公表した「ISSB産業別ガイダンス」の…

  2. FSFD

    一体、何がSSBJ基準の「結論の背景」に書き込まれるのか

    少しずつ、SSBJによるサステナビリティ開示基準の概要が見えてきまし…

  3. FSFD

    サステナビリティ報告の保証市場に関する分析:英国FRCの最終報告と日本市場への示唆

    2025年2月、英国の財務報告評議会(FRC)は、サステナビリティ報…

  4. FSFD

    SSBJ基準案に再びコメントが採用! 公正な基準策定への貢献

    2024年10月3日に開催されたSSBJ(サステナビリティ基準委員会…

  5. FSFD

    寄稿「なぜ、日本企業は会計に気候変動の影響を考慮しないのか」

    財務諸表の注記として、気候変動の影響を開示すると聞いて、まだまだピン…

  6. FSFD

    バリューチェーンとリスク・機会識別の「逆転パラドックス」

    ISSBおよびSSBJが定めるサステナビリティ開示基準は、「企業の見…

  1. Accounting

    ボクが辿り着いたコンストラクタル法則の使い方
  2. FSFD

    国際基準とのズレに揺れるSSBJ基準案:企業の懸念と今後の行方
  3. Accounting

    2020年9月期にKAMが早期適用された事例は何社だったか?
  4. FSFD

    契約証書は必要か? 温室効果ガス開示の要点を徹底解説
  5. FSFD

    気候開示に取り組むには、TCFDか、IFRSのS2基準か
PAGE TOP