FSFD

「予想される財務的影響」をめぐる制度設計の岐路 ― ESRS改正案が突きつけるサステナビリティ開示の本質

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

2025年8月18日、ISSBは教育的資料「Disclosing information about anticipated financial effects of sustainability-related risks and opportunities」を公表しました。

  • Disclosing information about anticipated financial effects of sustainability-related risks and opportunities(仮邦題:サステナビリティ関連のリスク及び機会の予想される財務的影響に関する情報開示)

https://www.ifrs.org/news-and-events/news/2025/08/disclosing-information-anticipated-financial-effects

しかし、今回注目すべきは資料そのものではありません。その公表が、ESRS改正案に対する「反対コメント提出の呼びかけ」という文極めて政治的な文脈の中で行われた点です。

しかも、この記事はISSBの公式見解ではなく、個別のメンバーによる論考です。それでもなおIFRS財団の公式ウェブサイトに掲載されたという事実は、この問題提起が単なる個人の意見にとどまらず、サステナビリティ開示制度の根幹に関わる本質的な論点として扱われていることを物語っているのです。

そこで本稿では、反対コメント提出を促す背景となったESRS改正案の内容と、その制度的含意を詳細に分析します。これはサステナビリティ開示の将来を左右する、制度設計上の重大な岐路なのです。

 

後発事象の基準開発の本質を問う──沈黙を破り、未来を形づくるとき前のページ

ESRSとISSB基準:サステナビリティ開示が切り拓く競争優位の新次元次のページ

関連記事

  1. FSFD

    ハイネケン社から学ぶサステナビリティ開示の真髄

    サステナビリティ開示における真の価値は、洗練された指標や表現技法にあ…

  2. FSFD

    SSBJ案の「産業分類ルール」――判断構造の可視化という、見過ごされた本質

    2025年12月、SSBJ(サステナビリティ基準委員会)は、同年3月…

  3. FSFD

    グローバル・ベースラインの空洞化――SSBJロケーション基準提案が投げかける根源的問い

     企業は、SSBJによるサステナビリティ開示基準に沿ってさえ…

  4. FSFD

    SSBJ基準案に再びコメントが採用! 公正な基準策定への貢献

    2024年10月3日に開催されたSSBJ(サステナビリティ基準委員会…

  5. FSFD

    海外企業に学ぶGHG排出量の測定と開示の技術

    SSBJ(サステナビリティ基準委員会)は、「気候関連開示基準案」でG…

  6. FSFD

    サステナビリティ開示の国内基準に備えるセミナー

    今もまだ、2.6(ニ・テン・ロク)の衝撃が残っています。ここでいう「…

  1. Accounting

    3つの特徴がある、本日のKAM強制適用事例
  2. Accounting

    財務報告の流儀 Vol.039 松井証券、PwCあらた
  3. Accounting

    資本コストやファイナンス理論を理解するための最初の3冊
  4. FSFD

    開示の新基準に向けた一手、海外企業の徹底分析と注目のAI活用術
  5. Accounting

    企業の開示関係者に必須のスキルが見抜かれた
PAGE TOP