Accounting

内部監査実務|会計不正リスクの見つけ方

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

 

「で、今回はどこを見ればいいんでしょうか」

内部監査の打ち合わせで、誰かがそう口にした瞬間、会議室の空気が少し止まる。そんな経験はないでしょうか。

会計不正リスクの重要性は分かっている。
過去の不正事例も把握している。
チェックリストも、参考書も、手元にある。

それでもなお、「この会社の、この期の内部監査で、どこに焦点を当てるべきか」を、言葉にしようとすると、意外と迷ってしまう。

これは能力や経験の問題ではありません。多くの場合、会計不正リスクを整理するための“地図”が手元にないだけです。

 

不正は「複雑」なのではなく、「構造として見えていない」

会計不正というと、巧妙で例外的な出来事のように語られがちです。しかし、実際の調査報告書や不正事例を丹念に見ていくと、多くは次のような共通点を持っています。

  • 業務プロセスの特定の段階で
  • 情報が特定の形で歪められ
  • 結果として数値や取引に表れる

つまり、不正は無秩序に起きているわけではありません。一定の「入り口」と「型」を持っているのです。

問題は、その構造を一望できる形で捉える手段を、実務で共有できていないことにあります。

 

A4一枚で、会計不正リスクの「全体像」を持つという発想

2026年2月に開催される本セミナーでは、会計不正の発生を 6つの局面 に整理した「業務プロセスの単純化モデル」を用います。

このモデルの狙いは、リスクを細かく分析することではありません。

  • いま見ている取引は、プロセス上どの位置にあるのか
  • その局面では、どのような不正が起きやすいのか
  • なぜ、そこを重点的に見る必要があるのか

こうした問いに、A4一枚のチャートを見ながら説明できる状態をつくること。「すべてを網羅する」内部監査から、「理由をもって焦点を絞る」内部監査へ。そのための思考の土台を整えます。

 

事例は「読むもの」ではなく、「使うもの」

最新の会計不正事例は、確かに示唆に富んでいます。しかし、読んだだけでは実務は変わりません。

本セミナーでは、次の2つのフレームワークを用います。

  • 不正事例の解析シート

不正がどの局面で、どの情報を通じて起きたのかを整理

  • 検証手続立案シート

解析結果をもとに、具体的な内部監査・検証手続へ落とし込む

売上高の前倒し計上。
在庫の過大計上。
キックバックを伴う取引。

こうした事例を前に、「もし自社だったら、どこを見るか」「どのデータを、どの順で確認するか」を考える時間そのものが、実務力になります。

 

属人的な経験から、組織として判断できる状態へ

会計不正対応は、どうしても「経験のある人」に依存しがちな領域です。

しかし、内部監査やガバナンスの本質は、誰が担当しても、一定水準の判断ができる状態をつくることにあります。

構造で考える。
共通のフレームで議論する。
「なぜそこを見るのか」を、他者に説明できる。

本セミナーは、そのための思考の型を整える場として設計されています。

 

実務に向けたプログラム構成(概要)

1.会計不正リスクの発生メカニズム

 ・会計不正が潜む6つの発生局面
 ・リスクを見極める視点
 ・統制設計の考え方

2.最新不正事例による実践ワーク

 ・解析シート/立案シートの使い方
 ・売上高、在庫、キックバック等の事例
 ※事例は開催直前の最新情報を反映

3.行動につながる実践ガイド

 ・調査報告書の読み方
 ・会計不正を短時間で把握するための視点

 

継続開催で磨かれてきた内容です

本セミナーは、一般社団法人企業研究会において、会計不正リスク対応をテーマに4回目の開催となります。回を重ねる中で、

・説明を増やすより、構造を単純化する
・知識より、判断につながる整理を重視する

という方向に、内容を見直してきました。2026年2月版では、解説構成を再整理するとともに、不正事例も一部刷新しています。

 

「どこを見るか」で迷わなくなるために

会計不正を完全に防ぐことは、簡単ではありません。しかし、

今回の内部監査では、ここを見る
なぜなら、構造上ここにリスクが集まりやすいからだ

と、落ち着いて説明できる状態にはなれます。

このセミナーが、内部監査計画を立てる前に立ち戻れる一つの思考の軸になれば幸いです。

 

ここまでの考え方を、実務で確認できる形に整理しています。

 

※関心を持たれた方が、必要なタイミングで検討できるように構成されています。

SSBJ案の「産業分類ルール」――判断構造の可視化という、見過ごされた本質前のページ

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