Business model

サブスク飲食店がフリーで提供する日

 サブスク、サブスク、サブスク。最近のビジネス界では、どこを見ても、このキーワードで溢れています。

 サブスクと言っても、サブちゃんこと北島三郎サンの「まつり」が上手に歌えるスクールの略と勘違いしないくださいよ。「これが日本のっ、祭り~~だよ~~~~」と歌い上げたくなる気持ちはわりますが、そうじゃない。お話ししたいのは、「サブスクリプション」、いわゆる定額課金のこと。

 このサブスクリプションが適用されているのは、IT系だけではなく、飲食店もあります。ラーメンやコーヒーといった日常的な飲食だけでなく、フレンチやステーキといった非日常的な飲食もあります。1ヶ月分の定額料金を払うと、その飲食店が提供する料理が食べられるのです。

 飲食店でのサブスクの内容は、制限ナシ系と制限アリ系に分けられます。制限ナシ系では、まさしく食べ放題や飲み放題。必ずしもメニューのすべてが対象とはなっていませんが、特定のメニューであっても、定額料金でいくらでも食べたり飲んだりできます。

 一方、制限アリ系では、1日1杯というように、食べたり飲んだりする量を限定しています。これに派生するものとして、メインの料理はサブスクだけれども、トッピングを有料にしているケースもありますね。うどんやカレー、卵かけご飯などトッピングなしでも飲食できるものの、少し寂しくなる仕掛け。

 そんなサブスクの飲食店の中で、閉店となったニュースがありました。やはり経営が難しいだろうなと感じたものです。限界費用を克服したビジネスモデルでなければ、ビジネスを存続させられないからです。

 限界費用とは、経済学の専門用語。簡単にいうと、生産を1個増やしたときに生じるコスト。IT系のサブスクだと、これがほとんどかからない。音楽配信や動画配信など、サーバーに情報コンテンツをアップしておけば、お客さんがどれだけ利用しても限界費用はないのも同然。

 これに対して、飲食店ではそうはいかない。提供するラーメンやステーキを1杯提供するたびに、材料費はもちろんのこと、人件費も経費もかかります。情報コンテンツとは違って、限界費用を無視することはできません。

 すると、サブスクの飲食店では、お客さんが飲食した分のコストが定額料金より上回ってしまうと、赤字になります。その分岐点を超えてしまうと、提供すればするほど赤字が膨らみます。制限ナシ系では、そのリスクをまるごと抱えてしまいます。

 また、制限アリ系でも、料金設定次第では赤字になるリスクは残ります。仮にトッピングの利益で全体として儲けを確保するビジネスモデルであったとしても、トッピングを注文しないお客さんが殺到すると赤字になりかねない。

 このように、飲食店のサブスクでは、否が応でも限界費用が生じるため、そのコントロールを誤ると、赤字となってビジネスを継続できなくなるのです。

 しかし、それは、サブスクで提供する飲食で儲けようとする場合の話。もし、儲けをもたらすものがサブスク対象の飲食ではないビジネスモデルだと、話は変わります。

 例えば、その飲食店に訪れるお客さんの行動データに価値があるとしましょう。すると、それを販売することもできれば、それを活用したサービス提供やコンサルを行うこともできます。サブスク対象の飲食で儲けるのではなく、その後のビジネスで儲けるのです。

 グーグルでは、検索を利用する人は無料ですが、検索した人の行動データは有料で提供されています。これと同じビジネスモデルへと転換するのです。究極的には、サブスクを超えてフリーにしても成り立ちます。

 おおっ、なんて画期的な飲食店だ。話題になること、間違いない。そんな飲食店のビジネスモデルを発明できたなら、きっと歌い上げたくなりますよ、「これが飲食店のっ、サブスク~~だよ~~~~」と。

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