今日は、セミナー資料の仕上げ作業。それは、今月の12月14日に開催する特別セミナー「上場企業へのKAMインパクト」の資料のこと。KAM(監査上の主要な検討事項)が、監査人だけではなく、財務諸表を作成する企業にも影響が及ぶことについて解説するもの。
3日前の投稿「良き仲間からの良きコメント」でお話ししたとおり、いったん作ったセミナー資料を、KAMを一緒に検討している仲間にレビューをお願いしていました。短い期間でのレビュー依頼であったにもかかわらず、細かな点まで見てもらえました。おかげで、セミナー参加者にとって、より理解しやすくなったと思います。
今日の作業としては、そのコメント対応に加えて、最新の状況の反映。ボクが担当するパートで、できるだけ新しい情報をお伝えしたいため、11月30日時点までの状況をセミナー資料に盛り込もうと考えていました。
昨日つまり11月30日の朝の時点では、特にセミナー資料に盛り込む情報はないな、と思っていました。ところが当日になって、2つの新しい情報が入ってきたのです。
新しい情報の1つ目は、11月30日付で監査証明府令が公布・施行されたこと。監査基準の改訂によって監査報告書にKAMを求められたことを受けて、9月26日に「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(案)」等が公表されていました。それが昨日、確定したことが官報に掲載されるとともに、金融庁のホームページにもアップされました。
セミナー資料では監査証明府令(案)についても紹介していたので、確定した内容に差し替える必要があります。幸い、条文そのものには変更がなかったようなので、解説文の一部の修正にとどまりました。
新しい情報の2つ目は、ASBJの審議資料がアップされたこと。KAMの導入議論を契機として、企業が行う開示についても拡充の要否が検討されていました。11月12日の基準諮問会議(財務会計基準機構)で「見積りの不確実性の発生要因」に関する注記情報を充実していくことが決まったとの、週刊経営財務の報道。しかし、ホームページに関連資料がアップされていなかったので、一次情報に当たれないままでした。
11月30日になって、前日の29日に開催された第397回ASBJの審議資料がアップされたことから、それについての一次情報に当たることができる環境になりました。報道どおりの内容でしたが、自身の目で確認できたため、これで自信をもってお話しできます。
こうして、できるだけ新しい情報をお伝えできるよう努めています。これが外部主催のセミナーだと、先方で資料の印刷準備などを行う都合上、資料提出の期限の後に何か情報が出ると、セミナー資料には盛り込めず、当日に口頭で補うことになります。
今回は内部主催で、その仕切りもボクのため、多少は融通が効く状況。何かあっても、自分で調整できる範囲でスケジュールを変えられます。たとえ、これらの発表が週明けの12月3日であったとしても、対応は可能。こうしてセミナー参加者に新しい情報を届けることができます。
このように最新の状況を伝えるという意味で思い出すのが、「ジャパネットたかた」の社長であった髙田明サン。彼への取材をまとめた『ジャパネットからなぜ買いたくなるのか?』(日経BP)という本に、こんなエピソードがあります。
テレビ通販に進出した当時は、番組の制作を外部に委託していました。ところが、収録から放送まで1ヶ月以上もかかるため、番組が流れる頃には紹介した商品の旬が過ぎていることもあったようです。
そこで当時の髙田社長は、「お客様により早く、より良い商品をご紹介したい。そのためにはすべて自前でやろう。」と決めて社内に宣言。その1年後には、本格的なテレビスタジオが完成したといいます。ビジネスモデル的にいえば、より早く、より良い商品を提供するためのキーリソースとして、テレビスタジオが位置付けられます。
もちろん、買いたい気持ちにさせるアノ語り口も、重要なポイントに違いありません。確かに、髙田明サンのあの喋りは、セールスレターそのもの。コピーライティングのテクニックがこれでもかと言うほどに詰め込まれています。
ただ、その効果が得られるのは、タイミング良く顧客に届けられたらの話。お客さんが欲しいと思っていないときに伝えても、限界があります。だからこそ、自前でテレビスタジオを持つという選択は、「今、この瞬間に、お客様が欲しいと思っている商品を紹介したい」というビジネスモデル的に大正解。
今日のボクは、髙田明サンと同じように、「あなたにより早く、より良いKAM対応をご紹介したい」という気持ちでいっぱい。その想いが強すぎて、セミナーの当日に、「みなさーん、本日、ご紹介するのは、KAM、監査上の主要な検討事項。どうですか? すごいでしょう!」なんて言い出さないように気をつけます。
P.S.
KAMセミナーの残席はわずか。なぜ、KAMでASBJの話が出るのと思った方は、会場でお確かめください。https://www.gyosei-grp.or.jp/images/pdf/seminar_tokyo_20181214.pdf(終了しました)
P.P.S.
記憶によれば、この本が発売された当時、髙田明サンによる本はこれ以外になかったはず。テレビスタジオのくだりは、今でも印象に残っています。
・荻島央江『ジャパネットからなぜ買いたくなるのか?』(日経BP)
P.P.P.S.
日本におけるKAM早期適用事例の分析について、当ブログでは「財務報告の流儀」というシリーズ投稿で解説しています。ただ、ワンコインの有料コンテンツとして提供しているため、「お試し版」をこちらで用意しています。