最近、好んで使っているフレームワークは、マインド、スキル、ツールの3つで考えるもの。『7つの習慣』で紹介されているとのこと。
これら3つが揃っていないと、うまくはいかないことを教えてくれます。例えば、いくら優れたツールを持っていても、それを使いこなすスキルがなければ、宝の持ち腐れ。また、ツールがあり、スキルがあっても、それらの土台となるマインドが間違っていたり、弱かったりすると、これらを使いこなせない。
もっとも、場合によっては、ツールを変えることで、スキルをそれに合わせざるを得ず、また、そのツールによる結果を使っていくことでマインドが変わることもあります。最近、神田昌典サンが提唱している「ITツールを使え」というのは、これを指していますね。
Googleアナリティクスなどを導入すると、それら格闘していくことで、自然と使いこなすためのスキルが身についていく。また、それらのツールに示された指標を理解しうえで、業務としての対応を考えていくことで、顧客に寄り添ったビジネスを展開していくことになります。
このように、ツールを導入することで、スキルもマインドも変わっていくこともあります。しかし、必ずしも連動して変わるというものでもない。とすると、ツールを導入すれば解決というものではないのです。
この間も、とある企業で社長がRPAを導入することで、間接部門のコストを削減すると声をかけたそうで。これなんかも、ツールですべて解決すると勘違いしている悲劇。
RPAで成果をあげるなら、まず今の業務プロセスが記述できていなければならない。現状を把握することなく、改善も何もありません。
その次に、新しい業務プロセスの姿を描く必要があります。現状の業務プロセスをベースにRPAを入れても、ただ単に高速処理にしただけ。もちろん、それだけでも効果はあるのでしょう。しかし、それでは文句の言わない人員を増やしたにすぎない。生産性は何一つ上げていないのです。
RPAの効果を最大限に発揮させるなら、業務プロセスを新しく見直したうえで、RPAを走らせるべき。こうした取り組みがなければ、宣伝の文句やイメージにまんまと踊らされたことになります。実際、その企業では、RPAが結局、走っていません。
加えて、間接部門の優秀な方が、「RPAでなくなるような仕事なら、もうやりません」と会社を辞めて行きました。これでは、RPAの掛け声によって人を流出させただけ。一体、誰が責任を取るのでしょうか。
こうしたときも、単に「ツールを変えよう」ではなく、現状のどこに問題があるのかを突き詰めるべき。スキルやマインドに問題がある場合、ツールで解決できなければ同じ問題が生じることになるでしょう。
反対に、スキルやマインドに問題があるなら、ツールを変えなくても解決できることもある。であれば、新たにツールを導入するコストをかけずに済むのです。
もし、あなたの組織で「今のツールを変えよう」と掛け声がかかったのなら、一度、冷静になったほうが良い。違うアプローチによれば、大きなコストをかけず、優秀な人をなくすことなく、目指す状態が達成できるかもしれませんよ。