ものを創り上げていく人にとって、頭の中に浮かんでいるものを、すぐに表現できないことにストレスを覚えます。NHK連続テレビ小説『なつぞら』の第10週「なつよ、絵に命を与えよ」の2019年6月8日(土)に放映した回で、そうしたシーンがありました。
ヒロインの奥原なつに扮する広瀬すずサンが、アニメーターを目指す過程で、こう話すのです。
自分が描きたいものに、自分の手が追いついていかないんです。
ボクも物書きの端くれの端くれとして、同じようなことを考えることがあります。頭に浮かんでいる書きたい文章に、自分のキーパンチが追いついていかない。これほど、もどかしいことはありません。キーパンチは比較的早いほうだと思うのですが、そのスピードにストレスを覚えることがあります。
これ、音楽の世界だと、もしかするとストレスがないのでしょうか。ほら、アドリブでギターやキーボード、ドラム、トランペットなどを演奏するときがあるじゃないですか。あのときの演奏って、まさに、自分が奏でたいものに、自分の手が追いついている状態。
あういうアドリブを見ていると、ボクもその才能がある気がしてしょうがない。もちろん、即座に演奏できるスキルがある前提ではありますよ。ただ、そんなスキルがあっても、あんなアドリブ演奏ができるとは限らない。そもそも、自分が奏でたいものが頭の中で鳴らす必要があるから。
ボクは電車に乗っているときには、頭の中で音楽を鳴らしていることが多い。CDに録音された演奏を思い出しているだけではなく、それに基づきライブ演奏のようにアドリブ部分を付け足しているときもある。エレキギターで鳴くシーンもあれば、ドラムで叩きまくっているシーンもあります。頭の中では、とにかくライブ会場でアドリブのソロを演奏しまくっているのです。
音楽をやっていた人に聞くと、譜面どおりに演奏はできても、作曲する能力は別だと話します。その話に基づけば、アドリブのソロなんてあり得ない技。しかし、ボクはそれを難なくやってのける。ただし、頭の中だけですけどね。
それはさておき。物書きに関して言えば、自分が書きたいものに追いつくためには、音声入力がオススメ。今日も、とある原稿を書く際に、音声入力を使っていたのですが、これが早い、早い。頭の中に思い浮かんだ内容を口で話すことにストレスはない。そこそこのスピードで話しても、どんどんと文字に起こされていく。
音声入力を使う前は、2,000字近くを書き上げるのに、2時間近くはかかっていたと記憶しています。しかし、音声入力を使うと、文章の構成を作り上げる時間を含めても、今日は3,000字で1時間もかかっていない。単純に3倍以上のスピードが実現できています。この凄さを知ってしまうと、キーパンチしていく執筆には戻れませんよ。
ひとつ、音声入力に難点があるとすれば、入力する場所を問うこと。自宅のPCに音声入力の環境を作っているので、自宅以外では執筆そのものができない。スマホの音声入力だと、時間制限があって、長々とは使用することが難しい。
もしかすると、それも今となっては実現できているのかもしれません。技術の進歩はすごい速さですからね。ただ、仮にそれが実現できていたとしても、ぶつぶつと話すことが問題にならない外部環境を確保する必要があります。電車や喫茶店などで実施するには、まだまだ心理的に抵抗がある。だから、今のところは自宅でのみ音声入力をしています。
音声入力で、楽器のアドリブ演奏のように、セミナーのノリで例え話も次々と挟み込めます。キーパンチしていたときよりも、解説が充実しているハズ。ギタリストがエレキギターで速弾きするように、ドラマーがドラムを乱打するように、ボクは音声入力で執筆のアドリブをかましていきますよ。その成果物を、乞う、ご期待。