Business model

商品の価値を高めるためのエピソード

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

サザンオールスターズでかなり大好きな曲に、「さよならベイビー」があります。好きな曲なのですが、あまりライブで演奏されないレアな歌。

 2008年8月に開催された、30周年記念公演かつ活動休止前の最後のライブとなった「真夏の大感謝祭」でも、セットリストには入らなかったほど。なので、ライブで演奏されると、ボクはもう、大喜び。

 この歌が発売された当時は、スマホもなけりゃインターネットもない時代。歌を好きに聴くにはレコードやCDしかない。しかし、ボクが極貧生活を送っていたものだから、それらは買えず、買ったとしても再生する機器もない。

 頼みの綱は、ラジオ。「さよならベイビー」がかかるだろうと予想してラジオ番組を選ぶ。その予想がドンピシャ当たると、もう、全力のガッツポーズ。

 でも、安心はできない。次にいつ聴けるのか、わからません。この機会に覚えるしかない。なので、真剣に聴きました。

 そのせいか、頭の中では、どの楽器の音も再生できるほどに覚えています。また、そのときの状況も一緒に記憶されています。あの夏の、18時から開始されるラジオ番組の空気感や部屋の光景、音のツヤ感まで。

 つまり、ひとつの楽曲に、こうしたエピソードも含めて記憶に残っている。楽曲の世界観に加えて、ボクに固有の情報も付加されているのです。だから、ひときわ思い出が深くなっているのかもしれません。

 こうした効果は、ビジネスでも同じ。今は、何でもイージーに手に入る時代。ひとつひとつの価値が相対的に下がっているようにも感じます。だから、価値を付加する工夫が必要。

 例えば、フレンチやイタリアンのレストランで飲むワイン。注文したものを飲むのと、ソムリエがワインを説明するのを聞きながら飲むのとでは、味わいが変わります。食べ物の味に加えて、情報も味えるからです。

 このように、商品だけではなく、それにまつわる情報が付加されると、商品の価値はさらに高まります。むしろ、そんな工夫をすべきでしょう。

 あなたが提供する価値にも、付加できる情報はあるはず。言葉にならないような体験だと、なお良い。ひまわりが揺れる夏に、何を付加しますか。

社長に競争戦略を理解してもらうには前のページ

『20字に削ぎ落とせ』からオープニングの型を学ぶ次のページ

関連記事

  1. Business model

    マーケティングの基本は、年齢スライド制から学べ

    物価スライド制という言葉があるのなら、「年齢スライド制」という言葉も…

  2. Business model

    ラッパーをビジネスに活用する

    ボクは、ある意味、ラッパー。「何、言ってんだ」って。確かに、そう思うか…

  3. Business model

    『新世界』から収入の複数化を学ぶ

    ひとつのビジネスでは収入が大きくないので、複数のビジネスを手掛けよう…

  4. Business model

    技術は進むよ、どこまでも

    今日、とある講演で、最新のテクノロジーを聞く機会がありました。とにかく…

  5. Business model

    2017年から2019年の、ユニコーン企業の入れ替わり

     物事の移り変わりは、早いもので。ユニコーン企業のランキングを見ていて…

  6. Business model

    顧客満足はラクロスから学べ

    今回は、東京都世田谷区の駒沢オリンピック公園・総合運動場・第一球技場か…

  1. Accounting

    リースの罠
  2. Accounting

    財務報告の流儀 Vol.021 住友商事、あずさ
  3. FSFD

    無料で手に入る「サステナビリティ関連情報の作成ワークシート」
  4. Accounting

    3ステップの教えと後発事象の注記
  5. Accounting

    有報の役員報酬の開示はストーリーを語れ
PAGE TOP