Accounting

会計基準は「考えるな、感じろ」

 考えるな、感じろ。英語で言うと、”Don’t think. Feel.” 映画俳優のブルース・リーの言葉として有名なセリフ。

 ボクは映画「スターウォーズ」でヨーダが話しているイメージがありました。しかし、時間軸としては、ヨーダの方が後とのこと。それは横に置いておいて。

 今日、このセリフを言う機会がありました。それは、ある会計基準の解釈を巡って、後輩と話していたときのことです。

 その会計基準には、「一定の期間」という記載がありました。これがどの程度の長さを指すかについて、後輩は質問してきました。「1年でしょうか」「3年じゃ長いでしょうか」と。

 そんな後輩に向かって話したセリフが、「考えるな、感じろ」。何もふざけている訳ではありません。本気でそう言ったのです。

 というのも、企業によって、置かれた経営環境は違います。業種としても違えば、同じ業種でも違います。そんな違いを考慮することなく、一律的なルールを当てはめることが大間違い。

 確かに、一律的なルールがあれば、それに従っておくことで文句は言われません。だからこそ、どの程度の長さであれば良いか、裏返せば、どの程度の期間内なら文句を言われないかについて表層的に「考える」ことをしがち。

 しかし、そもそも会計基準に具体的なルールが示されていない以上、個々に考えるべきこと。個々に違うからこそ、ルール化されていないワケで。

 個々の状況に応じて合理的な説明ができるかどうか。だからこそ、胸に手を当てて、やましい気持ちがないかどうかを深く「感じる」ことが大事なのです。

 反対に、会計基準に定められていない誰かのルールに従った結果、その会計で映し出した企業の姿が実態とかけ離れては何の意味もない。そんな説明責任を放棄した、文句を言われない線引きを探る姿勢がダメなんですよ。

 この根本的な原因は、会計処理することにフォーカスしてことにあるとボクは見ています。そうではなく、財務報告に意識を向けるべき。どう処理するかではなく、どう説明するか。有報の記述情報の拡充の動きも、まさにこれ。

 そのためにも、日本の「会計」基準は早く「財務報告」基準へと名称を変更するのが良いと考えています。処理から報告へと考え方をシフトさせるべきなんです。IFRSも、国際「財務報告」基準の略語ですからね。

 ほら、こんな話を聞くと、ブルース・リーもヨーダもボクも、良いこと言っているでしょ。ではでは。

キャリアを引き上げてもらえる人、もらえない人前のページ

『新世界』から収入の複数化を学ぶ次のページ

関連記事

  1. Accounting

    執筆中の第2章のゲラは、127ページ

    こんにちは、企業のKAM対応のスペシャリスト、竹村純也です。…

  2. Accounting

    『決算・監査コストの最適化マニュアル』で見える景色

    かなり意欲的な本が発売になりました。2021年3月期の決算はまだ途中…

  3. Accounting

    ボクは、KAMバカ

    こんにちは、企業のKAM対応のスペシャリスト、竹村純也です。…

  4. Accounting

    セミナー講師が花粉症に立ち向うとき

     今日は、セミナー講師を務めてきました。少し前のブログ記事「【セミナー…

  5. Accounting

    後発事象のKAMに備える

    後発事象の監査対応といえば、今は、KAM(監査上の主要な検討事項)を…

  6. Accounting

    引き出す会話

     なぜ、人は話すことで、思っても見なかったことまで話せるのか?…

  1. Accounting

    財務報告の流儀 Vol.036 大和証券グループ本社、あずさ
  2. Accounting

    ボクはインフルエンサー
  3. Accounting

    うそっ? KAMで驚くグーグル翻訳の精度
  4. FSFD

    気候関連の報酬は開示できるものなのか
  5. smoke chimney pollution smoking 258786

    Accounting

    コラム「日本企業が知らない『気候変動の会計』」を寄稿しました
PAGE TOP