キャッチコピーを作った経験はあるでしょうか。広告で用いられる、興味を引く言葉やフレーズのこと。TVコマーシャルで、世界観や売りを一言で表現したもの。
広告やCMを作る機会がなくても、組織の中で何かを呼びかける文書を作るにあたって、冒頭にキャッチコピーがあると、読んでもらいやすくなります。その結果、呼びかける行動も起こしてくれやすくもなります。
先日、キャッチコピーを作ることとなりました。これまでセールスレターは書いてきたため、その一環としてキャッチコピー的な冒頭の文句を考える経験はありました。しかし、今回はキャッチコピーのみ。そこだけで表現しきらないといけない。
せっかくの経験なので、きっちりと成果を出したい。そう思い、書棚に向かって参考になりそうな本を選びました。気分はまるで、ミュージシャンの山下達郎サン。ラジオ「サンデー・ソングブック」のコーナー「棚からひとつかみ」のように、「これは!」と感じた1冊を手に取りました。
それが、マーケティングコーチを行っている横田伊佐男サンによる『最強のコピーライティングバイブル』(ダイヤモンド社)。ちなみに、監修と解説は経営コンサルタントの神田昌典サン。確か、発売と同時に購入したため、もう4年も前のこと。
この本は、神田昌典サンが監訳された海外のコピーライティングに関する書籍について、3部作計4冊で2,000ページを超える内容を、たった1冊の280ページに凝縮することに挑戦した内容。それだけ関心を惹きつける秘訣を、3ステップに体系化しています。
久しぶりに手にしたこの本をパラパラめくっていると、キャッチコピーの作り方を解説したページに出会いました。そんなページがあったことも覚えていなかったのですが、どこか記憶に残っていたのでしょう。タイミング良く、必要な内容に再会できました。
2つ目のステップでキャッチコピーの型を解説しているものの、その前に抑えておくべきは1つ目のステップ。それは、戦略を練ること。ここを外してしまうと、2つ目のステップに進んでも効果が得られないから。
そこで考えるべきは、たったの2つ。1つはターゲット、もう1つは提供価値。「誰」に「何」を言うかを考えるのです。これらを踏まえると、「どう」言うか、つまり、キャッチコピーが生み出せるというワケ。
ターゲットと提供価値は、ビジネスモデルの要素で最初に考えるべき「顧客セグメント」と「バリュープロポジション」に他なりません。これらを繋げられると、「チャネル」が描けるのです。そう、顧客に認知してもらうためのキャッチコピーが。
そんなキャッチコピーの作り方に再会したものだから、使わない手はありません。で、ターゲットを明らかにし、また、提供価値をいくつか列挙します。このとき、ワークショップのよう、付箋紙に書き出しました。
付箋紙を使うことによって、使うものと使わないものとの分別がしやすくなります。また、使うものについても、どう言うかの順番を簡単に並べられるのに加えて、容易に並び直すこともできます。ものの30分もしないで、キャッチコピーが出来上がりました。
マーケティングの世界では、顧客にモノを売るときに、一発で売るワンステップではなく、関係を築いてから売るツーステップが効果的だと言われています。
これと同じように、キャッチコピーを作るときにも、いきなり完成品を生み出すワンステップよりも、まず素材を揃え、次に完成させるツーステップのほうが効果的。一発で完成させようとするのは、センス頼りになるため、むしろ大変。
何事も、先に道を作ってくれたものがあるなら、それを活用することが圧倒的に早く成果を出すことができます。ボクが作ったキャッチコピーはいい感じで仕上げられたため、おかげさまで採用に至りました。
その成果が日の目を見るのは、そう遠くない。しばし、お待ちを。