FSFD

サステナビリティ開示の実践ワークショップ、SASB活用の秘訣を解説

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。) 

SSBJ基準の公開草案がリリースされたことを受け、企業はサステナビリティ開示への対応を一層本格化させることが予想されます。

ステークホルダーとの建設的な対話を行うため、企業は自社グループのサステナビリティ関連のリスクと機会を的確に識別したうえで、マテリアリティの高い項目を開示する必要があります。リスクと機会の識別を誤ると、その後の対応が的確に行えなくなるため、ワークショップ形式のセミナーを開催しました。

これは単に聴くだけでなく、実際に手を動かしながら学べる体験型のセミナーです。それは、2024年4月4日に一般社団法人企業研究会が主催した「サステナビリティ開示ワークショップ~ツールを用いたSASBスタンダードの参照・検討~」です。リスク・機会の識別から開示項目の選定までの一連のプロセスを実践的に解説したものです。

このセミナーでは、次のツールを提供しました。

  • 開示トピックのスキャニング・シート
  • 開示情報のマテリアリティ判定シート

まず、サステナビリティ関連のリスクと機会の識別には、ISSB基準だけでなく、周辺の制度や基準にも配慮することが適切です。この作業を「開示トピックのスキャニング・シート」を使って進めていきます。

次に、SASBスタンダードは、ISSB基準やSSBJ基準において検討が必須とされているものです。しかし、SASBスタンダードの使い方は、それ単独で用いる場合と、ISSB基準やSSBJ基準に基づき検討する場合とでは、違いがあります。そこで、「開示トピックのスキャニング・シート」と「開示情報のマテリアリティ判定シート」とを組み合わせることで、それらの違いに対応しました。

さらに、同業他社のSASBスタンダードに基づく開示事例の調査方法も紹介しました。開示事例で着目すべきポイントの解説によって、受講者が自社の開示項目を検討する際に役立てられるようにしました。

このようなサステナビリティ開示のワークショップ型セミナーは他では開催されていないでしょう。そのため、受講者からExcel版のツール提供を求める声があったことは嬉しかったです。セミナーでの学びを実務に活用する意欲が感じられたからです。今後も、さまざまな形でサステナビリティ開示を支援する情報を提供していきますので、ご期待ください。

 

気候リスク指標、企業の取り組み姿勢が問われる理由前のページ

サステナビリティ情報開示の極意 -戦略的アプローチで利用者の期待に応える次のページ

関連記事

  1. FSFD

    アニュアルレポートにおけるSASB報告の海外事例

    財務報告でサステナビリティ開示を行う際に避けて通れないものが、SAS…

  2. FSFD

    初めてのダブル・マテリアリティを報告した海外事例

    正直、シングル・マテリアリティやダブル・マテリアリティの議論は、開示…

  3. FSFD

    GHG表示単位について、SSBJで何が論点とされたか

    SSBJで審議されている論点のひとつに、温室効果ガス排出量の表示単位…

  4. FSFD

    ISSB基準の解説書 監査法人による本格的な出版競争が始まる

    2024年1月から4月にかけて、3つの大手監査法人が、サステナビリテ…

  5. FSFD

    スコープ4のGHG排出量を表形式で開示している海外事例

    気候関連のサステナビリティ開示といえば、GHG排出量が代表的な指標と…

  6. FSFD

    気候会計への拒絶仮説を指摘した実務エッセイ

    経理担当者が気候会計に対してなぜ抵抗を感じるのか。この理由を考察した実…

  1. Accounting

    IFRSセミナーの備忘録
  2. Accounting

    KAMドラフトの提示依頼はお済みでしょうか
  3. Accounting

    財務報告の流儀 Vol.042 オリンパス、EY新日本
  4. Accounting

    財務報告の流儀 Vol.003 綜合警備保障、太陽
  5. Accounting

    財務報告の流儀 Vol.040 日本取引所グループ、トーマツ
PAGE TOP