気候関連のサステナビリティ開示といえば、GHG排出量が代表的な指標として知られています。そう、温室効果ガス(Greenhouse Gas)の排出量のことです。
2023年6月にISSBから公表されたS2基準「気候関連開示」では、このGHG排出量が報告企業の活動範囲に応じて「スコープ1」「スコープ2」「スコープ3」と区分されています。この区分は、GHG排出量の算定と報告の国際基準を開発している温室効果ガスプロトコル・イニシアチブ、いわゆる「GHGプロトコル」の定義によるものです。
では、「スコープ4」という言葉はご存じでしょうか。
これは、英語表記でいう「avoided emissions」の俗称です。日本語では「削減貢献量」と訳されることが多いでしょう。ただし、これはGHGプロトコルで定義された用語ではありません。よって、まだまだ認知度は低いかもしれません。
実際、2023年3月期における上場企業の有価証券報告書を対象として「削減貢献量」をテキスト検索したところ、ヒットしたのは52社でした。もっとも、認知はしていても活用ができていない結果かもしれません。とはいえ、企業側のアピールの観点から、今後、これを開示する企業が増える可能性も考えられます。
そこで今回の記事では、この「削減貢献量」について、2023年3月に海外で公表されたガイダンスを紹介します。また、2023年3月期の海外企業で、これを時系列に定量的に開示している事例についても共有します。