ISSBのS2基準によれば、気候関連の報酬について開示が求められています。この開示は、属する産業にかかわらず、すべての企業がその有無や内容を説明する必要があります。この開示から逃れることはできないのです。
もっとも、「該当なし」と開示する事例も少なくないでしょう。というのも、必ずしも役員報酬の算定に気候関連の考慮事項が組み込まれているとは限らないからです。
実際、上場企業でどこまで導入されているかを探るために、2022年7月期から2023年6月期に係る有価証券報告書を対象として、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」の「(4) 役員の報酬等」区分の中で「気候」をキーワード検索してみました。すると、ヒットした企業は28社にすぎません。
しかし、将来的にはこうした事例が増えてくることもあるでしょう。そのときに、気候関連の報酬を開示しようとしたときに、困難な局面が立ちはだかるかもしれません。この困難さは、まだ直面する企業が少ないため、表面化していないのでしょう。
そこで、今回の記事では、気候変動に関する報酬を取り上げていきます。これによって、どのような内容の開示が想定されているのか、また、現状における海外企業の開示事例はどのようなものかを理解できるようになります。さらには、「今、検討を進めている」というフェーズでの開示事例も紹介していきます。次のサブスクリプションからログインして、続きをご覧ください(すべての記事が読み放題です)。