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トーンダウンしたかのようなSSBJの審議

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SSBJ基準の審議がトーンダウンした印象を受けました。これは、2024年2月19日に開催された第31回目の審議に関するものです。

ここでは、2度目の「暫定合意のための意思確認」が行われました。最初の暫定合意は、2024年1月25日開催の第29回目の審議で行われました。サステナビリティ開示の国内基準に関する公開草案の時期が迫っていたため、委員の間で意見が分かれている論点を統一する必要がありました。

ところが、「2.6」(ニイ・テン・ロク)が発生しました。それは、2024年2月6日開催の第30回目の審議のことです。冒頭に、金融庁の担当課長から、国内基準の適用範囲として「プライム上場企業ないしはその一部」とする旨が示されたのです。

それまでは、有価証券報告書提出企業すべてが適用となる前提で議論されていました。しかし、リソースや能力が十分ではない上場企業にも配慮する結果、ISSB基準とは異なる取扱いが含まれていました。それが、「2.6」によって見直しを余儀なくされたのです。そのため、2度目の「暫定合意のための意思確認」が行われることとなりました。

審議動画を視聴していると、適用範囲が限定されたためか、事務局サイド、いや、SSBJ委員長の基準設定に向けた姿勢がいささかトーンダウンしたかのような印象を受けました。これは、設定されようとしているサステナビリティ開示の国内基準の公開草案が、当初想定されていたものよりも厳しくなる可能性があることを意味します。

そこで、今回の特別記事では、第31回目の審議における「暫定合意のための意思確認」のうち、SASBスタンダードの取扱いに焦点を当てて解説していきます。

 

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