FSFD

「指標及び目標」開示の構造コンパス<気候基準版>

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

気候関連の「指標」や「目標」の開示は、もはや制度対応のチェックリストではありませんよね。企業にとってこれは、自社の価値創造の論理を社会に伝える言語であり、また、ステークホルダーとの信頼構築を担う「経営の語り手」とも言える存在なのです。戦略と開示が互いに調和してこそ、サステナビリティという言葉に真の響きが宿るでしょう。

その自覚が芽生えた企業ほど、SSBJの「気候関連開示基準」(以下、「気候基準」)に真摯に向き合おうとするはずです。しかし、気候基準はとにかく情報量が膨大です。特に「指標及び目標」に関する要件群は、全91項中57項、なんと約63%を占めているのですから。

これでは、基準を開いた瞬間に頭がクラっとしてしまうのも無理はないでしょう。気候関連開示が「要件の処理業務」になってしまうのは、制度の問題というより、読み解き方の問題かもしれません。だからこそ本稿では、「構造的に読む」ことで、「戦略を語る開示」へと転換していく視点を提案します。数字の海で溺れるより、意味の地図を手に航海するほうが、はるかに実りある旅になりますよ。

 

トップの「本気度」が未来を変える──サステナビリティ開示が問う企業価値の真実前のページ

ISSBのスコープ3カテゴリー15修正案が投げかける本質的な問い次のページ

関連記事

  1. FSFD

    温室効果ガス排出削減コミットメント、IFRSが会計基準の解釈を示す

    2024年4月に、IFRS解釈指針委員会から気候関連のコミットメント…

  2. FSFD

    ISSB基準が変えるGHG排出の過年度報告

    気候変動への対策が世界的な課題となる中、企業の環境報告はかつてないほ…

  3. FSFD

    監査の指摘原因はサステナビリティ開示とのコネクティビティ

    サステナビリティ開示で注意すべきは、なんといっても、「コネクティビテ…

  4. FSFD

    米国サステナビリティの二幕劇:政治はブレーキ、経済はアクセル全開

    アメリカのサステナビリティ政策は今、奇妙なねじれ現象の中にあります。…

  5. FSFD

    バリューチェーンとリスク・機会識別の「逆転パラドックス」

    ISSBおよびSSBJが定めるサステナビリティ開示基準は、「企業の見…

  6. FSFD

    サイバーセキュリティを有報のサステナビリティ開示とするなら

    サイバーセキュリティを有報のサステナビリティ情報として開示する場合、…

  1. FSFD

    契約証書は必要か? 温室効果ガス開示の要点を徹底解説
  2. Accounting

    ジュンク堂書店池袋本店 社会担当( @junkuike_shakai )さんに感…
  3. Accounting

    出でよ、ディスクロージャー委員会
  4. Accounting

    こだわりのKAMコード
  5. Accounting

    『リースの数だけ駆け抜けて』第7話「海外の知恵」
PAGE TOP