FSFD

投資家の心を掴む「予想される財務的影響」の開示技法

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

2025年8月、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が公表した「ISSB基準の適用にあたっての予想される財務的影響に関する情報の開示」と題する教育的資料は、単なるガイダンス文書の域を超えた価値を持っています。翌月にサステナビリティ基準委員会(SSBJ)が翻訳版を補足文書として公表したことからも、その実務的重要性が伺えるでしょう。

  • Disclosing information about anticipated financial effects applying ISSB Standards

https://www.ifrs.org/news-and-events/news/2025/08/disclosing-information-anticipated-financial-effects

この資料の真価は、抽象的な基準を具体的な開示実務へと橋渡しする「翻訳技術」を体系化している点にあります。とりわけ第3章で示される5つの開示例は、企業が複雑なサステナビリティ要因を投資家に理解可能な財務情報へと変換する際の知的プロセスを鮮やかに描写しています。まさに、規制対応という表面的な作業を超えて、投資家との戦略的対話を実現する「秘伝のレシピ」が込められているのです。

本稿では、これら5事例を横断的に解剖することにより、開示の背後に潜む共通の構造的手順と、企業が直面する実務上の難題への解法とを明らかにします。その狙いは、形式的な規制遵守を脱却し、投資家から真の信頼を勝ち取る戦略的開示の在り方を探求することにあります。

 

産業別基準からモジュール化へ――制度設計革命の深層を読み解く前のページ

2025年最新KAMセミナー:いま、企業の“説明責任”が静かに試されている次のページ

関連記事

  1. FSFD

    英国が直視するサステナビリティ保証の課題と日本企業への示唆

    サステナビリティ情報について、保証の議論が増えてきました。ISSB基…

  2. FSFD

    「指標及び目標」開示の構造コンパス<気候基準版>

    気候関連の「指標」や「目標」の開示は、もはや制度対応のチェックリスト…

  3. FSFD

    気候リスク指標、企業の取り組み姿勢が問われる理由

    ISSBの移行支援グループが始動しました。まずは、気候関連リスクの産…

  4. FSFD

    産業別基準からモジュール化へ――制度設計革命の深層を読み解く

    サステナビリティ開示基準が従来の財務報告体系に持ち込んだ最も革新的な…

  5. FSFD

    セミナー「会社役員・経営幹部が押さえるべきSSBJ基準(公開草案)の要点」

    サステナビリティ開示は企業価値の極めて重要な源泉です。サステナビリテ…

  6. FSFD

    効果的なサステナビリティ開示の進め方は、やはり、これ

    先日、サステナビリティ基準委員会の審議動画を視聴していたときに、SS…

  1. FSFD

    GHGプロトコル大改定の影響を最新情報でフォローアップ
  2. Accounting

    後発事象のエンドは誰が決めるか
  3. FSFD

    初めて取り組む場合のサステナビリティ開示の選び方
  4. FSFD

    SSBJ基準「要件ジャングル」からの脱出法を完全公開したセミナー
  5. Accounting

    有報に人的資本を開示すべき理由がわかります
PAGE TOP