学びの姿勢があるかどうか。それは、研修アンケートで一目瞭然。それほどに研修アンケートには、受講した方の学びの姿勢がハッキリと浮かび上がるのです。
ボクは研修やセミナーの講師をする機会がよくあるため、その度にアンケート結果を読みます。また、ボクが所属する組織で研修担当を務めている関係上、他の人が講師の研修についてもアンケート結果に目を通します。毎月、少なくとも2、3度は研修アンケートに触れています。
興味深いのは、ここまでアンケートの結果が変わるか、というほどに記載された内容が違うこと。まったく同じ研修を、同じタイミングで受けているにもかかわらずに。一定期間、継続した研修だと、アンケートの回答者が同じ。そのため、定点観測しているようなもののため、学びの姿勢が手に取るようにわかります。それを大きく分類すると、不自由なタイプと自由なタイプの2つ。
不自由なタイプとは、自分が望む形で提供されないと研修の内容を受け取れない姿勢でいる人。このタイプの人は、自分の置かれた立場ズバリそのもので答えが得られないと、アンケートに不満をぶつけてきます。あるいは、アンケートに「自分の業務には関係ないが」と断りを入れて回答します。
おそらくは、これまでの学校教育や資格試験の専門学校での学び方から脱却できていないのでしょう。必ず存在する答えがあると考えていること。また、それを手取り足取り目の前に出してもらうのが当然と考えていること。
しかし、現実社会では、答えがたったひとつとは限りませんし、また、正解がない状況だって普通にあります。さらに、与えられたものだけに取り組む姿勢であることから、提供されたものだけしか目に入らないため、そこから派生したものを主体的に能動的に学ぶことができないでもいます。
このタイプは、相手が用意しなければ学びを受け取れないため、不自由。そういう人がいなければ、成長できないのですからね。相手次第で、自分の成長が左右されてしまうのです。
これに対して、自由なタイプとは、どんな形で提供されても行動計画に落とし込んでいく姿勢でいる人。このタイプの人は、どんな研修の内容であっても、「ここが役立った」「ここを自分の業務のここに応用してみようと思う」と感想を伝えてきます。あるいは、研修で説明された内容を踏まえて、何も説明していないことにまで発展させて回答します。
このタイプは、自分が望む形で提供されなくても、学びを受け取り、かつ、それを実践していくため、トライ・アンド・エラーを繰り返すことができる結果、どんどんと成長していきます。研修講師が何を話そうと自分の成長につなげられるため、相手に左右されずにいられることから、自由。つまり、学びの姿勢ができているのです。
そういうアンケートの回答を読むのは、講師として至極のとき。「頑張って良かった」と、セミナーや研修までの準備が報われる瞬間です。受講した方からパワーをもらった講師は、さらに磨き上げた内容を次に提供していきます。こうして好循環のエネルギーが回っていくのです。
先週のKAMセミナーでも、学びの姿勢ができているアンケートがいくつもありました。それらを見ると、嬉しくもあり、たくましくもあります。受講者に恵まれて、講師は成長していきます。この好循環のエネルギーを次に受けるのは、あなたかも。
P.S.
この本には、セラピストであり、パーソナルモチベーターでもある石井裕之サンが翻訳したもの。これに、石井裕之サンの講演音声『自由ということ』が特典として付いてきました。これを聞くと、学びの姿勢、つまりは自由でいることの意味が理解できます。
・スチュワート・ワイルド『ザ・クイック二ング~人生をコントロールする見えない力』(フォレスト出版)