もし、未来に向かうタイムマシンに乗れるなら。
未来を予測したい人にとっては、たまらないフレーズでしょう。未来を知るには、時間を超えなければならない。このとき、2つのアプローチが考えられます。
ひとつは、今の環境に起きている事象が、将来にどのような影響を与えるかを考えるアプローチ。これを活用している代表例は、マーケティングの世界。
一番わかりやすいのは、人口動態。最も消費活動を行う年齢が40代のため、この年代が一番多くなる将来の時点は景気が良くなると予測できます。わざわざタイムマシンに乗らなくても、今現在の人口の分布さえわかれば、簡単にその時期が推測できるのです。
こうしたアプローチは、経営学者のピーター・ドラッカー氏が『すでに起こった未来―変化を読む眼』(ダイヤモンド社)で説明していたもの。政治、経済、社会、技術などに起きた事象と、それがもたらす変化との間にはタイムラグがあるといいます。このタイムラグを利用すれば、あたかもタイムマシンに乗っているかのように振る舞えるのです。
もうひとつは、地域差を利用するアプローチ。別の地域で先行している事象とその取り組みを踏まえて、今の地域にも訪れるであろう、その事象に備えるもの。
よく「日本版~」というのは、まさにそれ。会計や監査の世界でいえば、J-SOXと呼ばれた内部統制報告制度が挙げられます。また、最近では、KAM(監査上の主要な検討事項)が該当します。
その他にも、日本で働き方改革が叫ばれるようになった背景をたどっていくと、ロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏が『ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』(プレジデント社)を発刊したことがきっかけ。こうした海外の先行した思考が日本に輸入されて普及していくと、その思考に応じた制度や対応が進んでいきます。
経営コンサルタントの中には、海外情報に精通することがキーアクションとなっている方もいらっしゃいます。日本以外の国や地域で先行している何かがあるときに、それが何年か遅れて日本にやってくると予想されるものがあります。すると、その先行している事象を日本に入ってくる前に知っておくことで、十分な対応時間が得られます。
こうして今の時点でありながらも、地域ごとの進行の差を利用することによって、あたかもタイムマシンに乗ったかのように振る舞えます。すると、周回遅れとなっている日本において、優位なポジションを作り出していきやすくなるのです。
例えば、「ビジネスモデル・キャンバス」というビジネスモデルを描写して把握・変革していくツールがあります。一部の人にとってはもはや常識中の常識になっているものの、多くの人にとっては未知の状態。つまり、ビジネスモデル・キャンバスを使うことは、タイムマシンに乗っていることに等しい。
この他に、「FORTHイノベーション・メソッド」も挙げられます。これは、組織の中でイノベーションを起こすための手法。日本でこれを体験している人はビジネスパーソンでもごく僅かでしょうから、さらなる未来からやってきた感じを受けるかもしれませんね。
ボクは、マーケティングをたしなみ、ビジネスモデル・キャンバスを使い、さらにはFORTHイノベーション・メソッドでプロジェクトを動かしています。保守的な人が圧倒的多数を占める会計士から見ると、何をしているのか理解できないでしょう。ましてや、占星術もかじっているとなると・・・、もはや意味不明。
でも、受け入れてくれる人がいるから、成立しています。このブログを面白がって読んでくれる、あなたがいてくれるから。