Career

「教えている自分が好き」から目覚めよう

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。) 

あなた、酔ってます?

 これ、お酒のことじゃありません。あなた自身のこと。自分自身に酔っているかどうかという質問。組織の中で年次が高まるほど、つまりは偉くなるほどに、自分自身に酔っているかもしれません。

 しかし、本人はまったく、そう思っていない。むしろ良いことをしているとすら考えている。だから、始末が悪い。でも、「~すべき」という言葉が並んでいる文章ってありませんか。

 これは、「~している自分が好き」と言い換えることもできます。「~すべき」という文章を書いている人は、「こんな良いことを書いている自分が好き」という状況に陥っている可能性があるのです。

 ここで紹介したい話があります。ボクの記憶では、確か、『なぜ「教えない授業」が学力を伸ばすのか』(日経BP社)という本。

 これは、現役の高校教師である山本崇雄サンが、先生が教える授業から、生徒が自分で学んでいく授業の方法を説いたもの。そこで、先生になる人は、基本的に教えることが好きな人が多い、と指摘していたのです。

 もちろん、教えることがダメなのではありません。誰かの知識を別の誰かに移転させるためには、教えるという行為が効果的な局面があります。

 しかし、問題なのは、主役が先生になっているケース。「教えている自分が好き」という状態になっているのがダメなのです。なぜなら、生徒に目が向いていないから。自分に酔っているだけ。知識を「伝える」ことに関心があるのであって、その知識が「伝わる」ことには関心がないのです。

 しかも、やっかいなのは、教えることが好きな人は、悪意がない。そもそも生徒に「伝わる」という発想がないため、いかに「伝える」かにフォーカスしてしまう。意図的に「伝わる」ことを排除していない。ピュアな分、始末が悪いともいえます。

 さらに面倒なのが、お偉いさんの書く文章。学校の先生のようなピュアさは持ち合わせていません。「こんなに素晴らしいことを書いたんだから、当然、これに従うよな」という文章を書く。加えて、たった1度、そういうタイプの文章を出しておけば、熟読するだろう、行間まで読み取ってくれるだろう、という文章。ふんぞり返っている様子が目に浮かびます。

 そのため、覚えやすいように3つに分類する、といった工夫すらしない。ひたすら列挙するだけで終わってしまう。以前のブログ「ワークショップで伝える順番はこれ」では、三谷幸喜サンの脚本によるフジテレビ系のドラマ『王様のレストラン』での光景を紹介しました。

 レストランのオーナーが朝礼で、最初は「3つのW」や「5つのP」として教訓を話していました。これが、「37のS」になってしまう、というオチ。そんなに多くては、とても覚えられません。

 先日も、とある資料で「17の提言」と記載されていたのを見て、苦笑しましたよ。実際、中身をみると、レベル感の異なるものが列挙されているだけ。その順番にも意味を読み取れない。ビジネスの場でのプレゼンだと、「17の・・・」と話した途端にそっぽを向かれてしまいます。

 この資料を作成した組織には、「伝わる」ことに関心がある人が誰一人いなかったのでしょうね。あるいは、声を挙げた人がいても、そのことに耳を傾ける人がいなかったか。

 もう少し、読み手に寄り添った文章にすると、書き手が呼びかける行動をとってもらいやすくなる。せっかく時間をかけて作った文章なのだから、自己満足で終わってはもったいない。

 自分に酔った文章じゃ、誰も付き合ってくれません。そろそろ、酔いから覚めませんか。

コンテンツ化に必要な、文字の「見える化」前のページ

横並び意識が強い会社の、KAMとの付き合い方次のページ

関連記事

  1. Career

    オンライン講座の収録はこの2点に注意する

    今日は、オンライン講座を収録するときの気付きが得られました。オンライ…

  2. Career

    仲間の気遣いが嬉しい

    仲間って、有り難いものですね。 急に、こちらの都合で声をかけ…

  3. Career

    真の答えを引き出す質問

    人から何かを引き出すって、簡単なようでいて案外、難しいもの。簡単だと思…

  4. Career

    ライティングの上達は素材集めから

     普段の生活で、頻繁にしている行為。そんな行為があるなら、少しは上手…

  5. Career

    2019年からのメッセージの伝え方

     最近、ブログやSNSで広がりを生み出しにくいと感じていませんか。ボク…

  6. Career

    バンブー、母校に帰る

    今日の2021年4月12日から、母校での授業が始まりました。ボクの出…

  1. Accounting

    これからの「税効果注記」の話をしよう
  2. Accounting

    『「第三者委員会」の欺瞞』から説明責任を学ぶ
  3. Accounting

    有報・記述情報と新型コロナウイルス
  4. Accounting

    ついに始まった、内部統制報告制度の見直し議論
  5. Accounting

    見積りの仮定で検討すべきは、「合理性」か「適切性」か
PAGE TOP