もしも、何か辛く感じている状況に遭遇したなら。そのときには、ライン、すなわち、曲線で発想してはいかがでしょうか。
というのも、つい直線で人生を考えてしまうから。例えば、真っ白な用紙があったときに、左下に現在を示す点を、また、右上に未来を示す点が書いてあったとします。これらを線で結ぶことによって、あなたの人生を描いてください。そう言われたら、どんな線を描くでしょうか。
このとき、つい、現在から未来に向かって、真っ直ぐな線を描きがち。直線で結ぶことが自然のように感じられているからかもしれません。あるいは、最短距離とするには直線で結ぶことが合理的だと判断したからかもしれません。
ただ、その直線とは、平面幾何学上のものに過ぎません。ということは、この世の中には、直線なんてものは存在しないということ。もちろん、直線に限りなく近いものはあっても、平面幾何学的な完全な直線はない。それは頭の中でしか存在し得ないのです。
だから、先ほどの真っ白な用紙にあなたが描いた直線のとおりには、人生は進まない。これは何も悪いことではありません。
確かに、この先は真っ直ぐな道だとあらかじめわかっていれば、将来の不安もなくなるでしょう。また、そのための備えもできます。反対にいえば、先がわからないからこそ、不安になる。
ここで問題なのは、先のこと考えるときに、ネガティブなことしか想定しないこと。しかし、将来はネガティブばかりのはずがない。ポジティブなことも当然にあります。どちらも生じると考えることのほうが自然なこと。すると、真っ白な用紙に描くべきは、曲線なんです。
直線で考えてしまうと、その前に現れた事象を突破できないと、その直線はポキっと折れてしまいます。いったん方向が変わると、もう目指す未来には辿り着けないことになります。
これに対して、曲線で考えるなら、目の前の障害物を避けるようにカーブを描くことができます。それを回避した後に、また、元の軌道に戻るようなカーブを描く。この繰り返しによって、現在から未来までの間には曲線で繋がれるのです。
こうして、直線なんて生き方は幻想であることを受け入れることができると、前向きになれるハズ。そんなメッセージを、文化人類学者であるティム・インゴルド氏による『ラインズ 線の文化史』(左右社)から感じ取りました。
この本の最後のメッセージが、とても心強い。だから、あなたにもシェアしたい。
重要なのは終着点などではない。それは人生も同じだ。面白いことはすべて、道の途中で起こる。あなたがどこにいようと、そこからどこかもっと先に行けるのだから。
何が起きても、どうか、諦めないでください。たまたま人生の曲線で谷に向かうだけ。曲線として考えるなら、また、山に向かうときがあります。そうして今の地点から、もっと先に向かって進んでいけるのだから。