専門家として、しっかりとしたコンテンツを作る方法があるとしたら。
書籍として発行するケースもあれば、長時間のセミナーとして伝えるケースもあります。何か伝えたく、また、それなりの時間をとりたい内容がある場合に、それをどうコンテンツに仕上げるかに悩んでいるなら、今から紹介する方法が役に立つはずです。
なぜ、「役に立つ」とまで言い切れるかというと、その方法を実践している事例を目の当たりにしたから。それは、経営コンサルタントの神田昌典サンによる新刊『マーケティング・ジャーニー 変容する世界で稼ぎ続ける羅針盤』(日本経済新聞出版)。
この本は、日経MJで連載されているコラム「未来にモテるマーケティング」がベースになっています。しかし、当時の連載記事をただ寄せ集めたものではありません。大幅に加筆修正しているものの、それだけにはとどまらない。
1冊の本にまとめるにあたって、神田昌典サンが提唱する「マーケティング・ピラミッド」というフレームに沿って再編集しているのです。連載とは異なる切り口によって記事を組み立て直しています。ここにコンテンツ化の秘訣があると確信しました。
というのも、本を1冊書くのは、大変な作業です。あるフレームに沿ってライティングしていくときに、何も素材がなければゼロから生み出さなければならないからです。200ページ程度のビジネス書や実務書を書くときに、200ページ分の文章をゼロから起こしていくのは労力が必要だと理解できるでしょう。
しかし、何かしらのフレームに関する素材が用意されているとしたら、状況は変わってきます。何もゼロから200ページの文字を生み出す必要がないからです。すでに手元にある素材を活用しながらライティングできるなら、労力は随分と軽くなります。
すると、いかにフレームに沿った素材を用意しておくかが鍵になってきます。ここで、フレームごとに記事を書き溜めていく方法が考えられます。確かに、それを積み上げると、しっかりとしたコンテンツに仕上げることができます。
ただ、これは、コンテンツを作る時間を単純に前倒しにしただけ。それができるなら、最初からしっかりとしたコンテンツは作れるため、悩むことはないでしょう。計画的に前倒しできない事情があるからこそ、コンテンツ化が実践できないでいるハズ。
では、どうするか。神田昌典サンの新刊を参考にするなら、普段から解説記事を書いておくこと。ブログでもメルマガでもニュースレターでも構いませんので、こまめに短めのコンテンツをストックしておくのです。
ここで注意したいのは、最初から何かのフレームに沿って記載するようにはしないこと。そのフレームを軽く意識するくらいで、ちょうどよい。それを意識するあまり短めのコンテンツすら出来上がらないのでは意味がありませんからね。
とにかくコツコツと解説記事を積み上げておく。その結果、何かのフレームに沿わないものがあっても構いません。それが後に、違う形でコンテンツに反映できることもあるので、気にしないでOK。
素材がある程度、ストックされている状態が大切なんです。来たるべきときに、手持ちで使える素材が用意できていると、執筆や収録などに役立てられるから。素材が100%揃っていることはないでしょうから、そこを目指す必要はありません。
ミュージシャンで例えると、1曲1曲作っていると、それを集めたアルバムを作るようなもの。すべて発表曲で構成するのか、あるいは、いくつかは新曲を含めるのか、アルバムのテーマや状況次第。これと同じこと。
ちなみに、このブログの記事カテゴリーのひとつ「ビジネスモデル」は、ビジネスモデル・キャンバスの9つの要素をほんのり意識して作っています。このカテゴリーの記事がすでに130本。1本あたり平均1,500字とすると、19万5,000字。十分に本にできる文字数に積み上がっています。
どこかでビジネスモデルに関する本も出せたら良いな、と考えています。ただ、集めるだけじゃ芸がないため、切り口や構成を練る必要があります。実はそれについても、うっすらとイメージしているものがあります。会計士だから、というポジショニングも踏まえたものが。
情勢をみたときに、それは2,3年後に求め始められると予測しています。なので、それまでは「ビジネスモデル」カテゴリーの記事をコツコツと書き溜めておくとしますか。