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『コロナショックから始まる変容のプロセス』から捉え方を学ぶ

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

転がり出る空間が核をなす。つまり、あなたが今、取り組んでいることの結果が、その後のあなたの中心を形成する。そう解釈すると、あるものの捉え方が変わってきます。

 それは、新型コロナウイルスのこと。いろんな呼び方があるけれど、実生活では「コロナ」の3文字が多いのではないでしょうか。例えば、「もう、コロナのせいで」というように。あまり、「もう、新型コロナウイルスのせいで」なんて話す人を見たことがない。

 となると、「コロナ」の3文字が発する音の波が、ボクらの感覚に影響を与えていてもおかしくはない。音って、空気中を伝わる波のこと。昔、学校で習ったハズ。だから、「コロナ」という音の波を常に浴びているのです。

 画家であり作家でもある、はせくらみゆきサンが考案された「おとひめカード」なるものがあります。これは、五十音それぞれの持つ波がどのような意味を持つかを体系化したもの。ひとつひとつの音に意味を持たせたのです。

 それに基づいて、ボクが「コロナ」の音の意味を解釈したのが、冒頭の「転がり出る空間が核をなす」です。このように捉えることもできるのです。

 今日、読んでいた本が、はせくらみゆきサンによる『コロナショックから始まる変容のプロセス これから何が起ころうとしているのか』(徳間書店)。その中で、ボクに響いた言葉がありました。それが、これ。

しかしながら、たとえ起こったこと自体を変えることは出来なくても、起こったことを、どう捉えるかは、自分の意思で変えることが出来ます。
また、まだ起こっていないことに関しては、それぞれの意識と関心のあり方によって、どの現実を表すかを選ぶことが出来ます。

 そうなんですよね。新型コロナウイルスによって受けた影響は、現実世界に起きています。これを無かったかのように変えることはできない。それは無理。

 しかし、それをどう捉えるかは、自分次第。「こんな目に遭うなんて、最悪だ」と悪く捉えることもできれば、「これをきっかけに見直そう」と良く捉えることもできる。どちらに転ぶかは、自分が決めること。

 これって、財務報告でも同じ。少し前に、経理関係者と話していたときのこと。ボクが、「今後の財務報告は、まず企業が開示をし、次に投資家と対話を行い、その結果としてフィードバックを受ける循環となっていく。こうして改善の螺旋を上っていくんだ」と話しました。

 金融庁の開示制度の一連の改革の狙いも、ここにあります。開示、対話、フィードバックの循環によって、企業の開示やガバナンスなどが改善されていく。これが、日本でのマネーの流れをより良くしていくのです。

 ただ、そう話したときに、その経理関係者は、「投資家にもよるからね」とそっけない態度。というのも、良いフィードバックをくれる投資家ばかりじゃないから。短期的に金儲けできれば良い投資家もいるため、そんな理想どおりには進まないと反論されました。

 もっとも、そんな投資家ばかりじゃない。気づきとなるようなフィードバックを返してくれる投資家もいるのは事実。にもかかわらず、特定の投資家を想定して開示に消極的になってしまうのは、自身の選択に他ならない。

 ね、引用した言葉どおりでしょ。どう捉えるかは、財務報告を行う企業次第。意味がないと考えて開示を最小限に済ませれば、積極的に開示しないことを選択した情報について何度も説明が求められます。そういうやりとりで時間を費やしてしまうため、対話も有益なものとはならず、フィードバックも得られない。

 一方で、充実した開示を行っていると、それを踏まえた対話が可能になります。社内の会議でも同じ。何かを提案するときに、それまでの検討事項について1つよりも10の情報を提供しておいたほうが、その後の議論は円滑に進みます。

 会議で検討過程を1つしか提示しなれば、提示を省略した9の部分について質問が来ることは当たり前。誰もが思い浮かぶことは一緒だから、最初から提示しておくべき。この帰結は、提案者からすると新しい視点が得られないと嘆くだけ。有意義な会議とは感じられないのは、自身がその状況を選択しているからなのです。

 もっと言えば、そういう「棲み分け」になっていく。開示・対話・フィードバックのサイクルを回していく企業には、充実した開示を読み込む投資家が集まるため、望む未来がより現れやすくなる。

 それに対して、開示に消極的な企業は、自社の取り組みに共感してもらう努力を怠っているため、短期的に儲かるかどうかの観点しか投資家に提示していないことになる。すると、引き寄せる投資家も自ずとそうなる。

 特に今は、新型コロナウイルスが猛威を振るっている時期。それが、企業の業績や財政状態にさまざまな影響を与えています。まだ顕在化していないリスクもある。それらに対応するための施策を検討し、また、実践もしているハズ。

 こうして転がり出る状況とは、企業が「こう在りたい」「こうなりたい」と考えている物理空間そのもの。それが今後の生き残りをかけた中心部分、すなわち、核となる部分。それを開示しなくて、一体、何を開示するというのか。

 ウィズ・コロナ時代の財務報告は、企業が今、取り組んでいる開示の結果が、その後の企業の中心を形成する。もし、2020年3月期以降から有価証券報告書の記述情報を充実させる改正についてどう取り組むかによって、棲み分けが変わってくるとしたら。それでも従来と変わらない開示を選択するのですか。

 

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