文豪ゲーテが開示責任者なら、財務報告の流儀を求めたことでしょう。「一つのことが万人にあてはまりはしない。めいめい自分にふさわしい流儀を求めよ」と話していたのだから。
そこで、KAM(監査上の主要な検討事項)を早期適用した事例から、財務報告のあり方について考えていく連載が、この「財務報告の流儀」シリーズ。今回は、次の事例を取り上げていきます。
(1)事例
証券コード 8591
会社名 オリックス㈱
業種 その他金融業
開示書類 有価証券報告書
決算日 2020年3月31日
監査法人 有限責任あずさ監査法人
会計方式 SEC基準
(2)早期適用によるKAM
連結財務諸表に対するKAM
- アセットマネジメント契約に関する耐用年数を確定できない無形資産の減損損失の認識の要否に関する判断の妥当性
- 公正価値測定においてレベル3に分類される投資ファンドへの投資残高の評価の合理性
個別財務諸表に対するKAM
- 割賦債権、リース債権及び営業貸付金の評価の合理性
今回の事例から学ぶべきポイントは、次の3点です。
- 会計上の見積りに関する重要な仮定を構成要素まで掘り下げた事例
- 「会計上の見積りの開示に関する会計基準」に活用できる注記事例
- KAMの記載の充実は企業の開示の充実なしには困難なのか
同社の有価証券報告書をご準備いただき、実際の開示を確認しながら、財務報告のあり方を学んでいきましょう。いかに財務報告を良くしていくかに真摯に向き合っている人だけ、この先にお進みください。(注:無料の「財務報告の流儀(お試し版)」はこちらから。)
P.S.
この解説がベースになった書籍『事例からみるKAMのポイントと実務解説―有価証券報告書の記載を充実させる取り組み―』(同文舘出版)はこちら。