世間には、協会やオンラインサロンのように、会員が集まって活動している組織がありますよね。企業とは違って、組織の活動によって還元を受けるのが会員である組織が。
そんな協会ビジネスを手掛けているなら、その会員の活動が目に見える形にしたほうが良い。そんなことを感じさせることがありました。
日本監査研究学会のサイト・リニューアル
日本監査研究学会という組織があります。監査研究の推進と、監査研究者の相互の交流とをはかることを目的としたもの。ボクも会計士の端くれとして、所属してします。
この学会のホームページが、2021年3月3日にリニューアルされました。ほら、「監査の研究」と聞くと、ちょっと近寄りにくいイメージがあるもの。しかし、そんな印象を払拭させるほどに、ビジュアルが美しい仕上がり。
https://audit-association.jp/index.html
サイト内のコンテンツも整然と収録されているため、使い勝手も良くなっています。ホームページに訪れた人を回遊させる効果も高まっているものと推測しています。
目玉は「会員近刊紹介」
今回のリニューアルで新しく追加されたコンテンツに、「会員近刊紹介」というコーナーがあります。日本監査研究学会の会員が新しく発売した書籍が掲載されるページです。
確かに、この学会は研究者の方が会員として多数所属しています。実務家が多い協会と比較すると、会員が書籍を発行している数も多いと考えられます。
ボクの最新刊『事例からみるKAMのポイントと実務解説―有価証券報告書の記載を充実させる取り組み―』(同文舘出版)も、このコーナーに掲載していただきました。
今回のブログにアップした画像が、それ。ホントに有り難いことです。監査に興味がある人達に、そのページを通じて書籍を知っていただけるのですから。そのうち一定の割合の方に興味をもってもらえたなら、その先の発展も考えられます。
会員の活動を「見える化」
しかし、書籍が発行された事実が紹介されなければ、会員ではない人がそれを知る機会がひとつなくなります。別の機会が訪れるのを待つしかない。
これに対して、会員の活動が「見える化」されていると、まだ会員になっていない人々に対して、組織の活動の成果を伝えやすくなります。
もちろん、会員の書籍が、必ずしも組織の活動の成果であるとは限りません。とはいえ、組織の活動に関連したテーマの書籍であれば、何かしらのヒントを得ているハズ。ならば、こうして紹介しない手はありません。
前提にすべきサイト来訪者
このように考えると、会員の活動をどのように紹介しているかは、いわゆる協会ビジネスにおける会員の獲得に大きな影響を与えることがわかります。活動の成果が書籍になっていると「見える化」されていることほど、会員になっていない人に訴求力がありますからね。
そう話すと、「活動状況を定期的に報告している」と反論されるかもしれません。それも欠かすことはできません。ただ、まだ会員ではない人にアクセスしやすい形で、組織の活動状況を伝えていることがポイント。
日本監査研究学会のように、サイトのトップページからワンクリックで閲覧できるほどに、簡単にアクセスできているかどうか。ツークリックもスリークリックもしてくれるほどに、組織の活動に大きな興味を持つ人たちばかりではないから。
会員の活動を活発化させる上手い作り
いわゆる協会ビジネスを行っているなら、会員が本を出していることをアピールすることに取り組むことに十分な価値が見いだせます。ビジネスモデル的にいうなら、顧客とのチャネルをどう構築していくか、という論点です。
ちなみに、日本監査研究学会の「会員近刊紹介」コーナーのミソは、「近刊」に限っていること。時間が経てば、このコーナーに掲載された書籍は、新しく発行された書籍へと置き換わっていくハズ。
つまり、このコーナーに常に掲載されている状態を作るためには、出版をし続ける必要があるのです。これは、会員の活動を活発化させる仕組みであることを意味しています。うまく作ったものです。
ボクも、次回作を仕込んでいかないと。それには、監査に関連したテーマじゃないと。あの企画は果たして、どうだろう。
P.S.
2020年3月期に早期適用されたKAMについて分析した『事例からみるKAMのポイントと実務解説』の内容は、こちらの紹介ページをご確認ください。