「財務諸表に『気候変動』を注記するって、一体、何を書くの?」
英国のFTSE100銘柄の企業の多くは、財務諸表に「気候変動」に関する注記を行っています。これは、もはや珍しい事例ではありません。そんな話をしたときに、よくある反応が冒頭のセリフです。それは、経理関係者も会計士も変わりません。
ここで懸念するのは、そうした会計実務を知らないことではありません。「財務報告におけるサステナビリティ開示」が意味することを知らずに、財務諸表との関係を無視したサステナビリティ開示を行ってしまうことです。
TCFDは、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」という4つの柱で開示することを提言しました。これは、環境リスクというよりは、財務リスクへの対応を重視したものです。財務諸表が実態を示していない状況にないかどうかを問題視しているのです。
2023年6月、ISSBは、このTCFD提言の4つの柱を取り入れたIFRSサステナビリティ開示基準を公表しました。そのため、財務リスクを重視したフレームワークがISSB基準にも受け継がれているのです。しかも、気候変動に限らず、その他のサステナビリティ情報にも拡張しているのです。
このように財務リスクへの対応という観点を知ると、財務報告に取り込まれた意味が腑に落ちるでしょう。同時に、環境や社会へのリスクを重視した財務報告以外の開示とは異なる点があることも理解できます。
そこで、次のとおり、「財務報告におけるサステナビリティ開示」という性質に重点を置いたWEBセミナーを開催します。
■テーマ
これからのサステナビリティ開示への対応準備
~ISSB基準のポイントを理解して、経営上の対応や財務諸表との関係を考える~
■スタイル
収録した内容を後日、視聴できます。
■予定している内容(約2時間)
1.ISSB基準の設定背景
・基準化に至る背景に根底するもの
・5つの観点による位置づけの整理
・ISSB基準の概要
2.ISSB基準で押さえるべきポイント
・S1基準にみる経営上の対応
・S2基準にみる経営上の対応(TCFD提言との比較を含む)
3.財務諸表との関係
・気候変動と財務諸表とのつながり
・気候変動に関する注記の海外事例
(注)セミナー収録までの情報を反映するため、内容が一部変更となる可能性があります。
■視聴期間
2023年10月16日(月)10:00から2023年12月14日(木)17:00まで。
■お申し込み
https://ps.pronexus.co.jp/seminar/4809.html
ISSB基準では、サステナビリティ開示で用いるデータが、財務諸表で用いるデータと整合していることを求めています。この取扱いは、SSBJによる日本基準にも反映されるでしょう。すると、財務諸表に気候変動の影響を考慮する会計実務が避けられません。気候変動以外のサステナビリティ情報でも同様です。つまりは、CFOや経理が関与しないサステナビリティ開示はあり得ないのです。
今回のセミナーでは、英国企業が財務諸表に注記している「気候変動」の開示事例も紹介する予定です。これによって、気候変動の影響をどのように財務諸表に考慮しているかの実態も理解できます。これを機に、先を見据えた対応をご準備ください。