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目標管理は給与や賞与に結び付けてはいけない

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

経営者にとって、従業員のパフォーマンスを高めることは経営課題のひとつ。どんな組織であろうと、メンバーのパフォーマンスが期待したとおりでなければ、組織のゴールを達成できないから。組織の規模の大小に関わらず、悩みのタネ。

人のパフォーマンスを高めたいなら、OKR。これは、目標(Objectives)と主要な結果(Key Results)の2つを使ったもの。今どき知らない人は危機感を覚えて欲しいくらいに、経営や人材開発の世界では知られた手法。

そこで今日は、OKRの名著といえる書籍『Measure What Matters 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR』(日本経済新聞出版社)をご紹介しましょう。 

著者は、世界的ベンチャー・キャピタルであるクライナー・パーキンスで会長を務める、ジョン・ドーア氏。Amazon、Google、Twitter、ネットスケープなど数多くの世界的に成功している企業に対して初期の段階から投資をしていたことから、シリコンバレーでは伝説的なベンチャーキャピタリストとして知られています。

ジョン・ドーア氏が、グーグルで働く人がまだ30人程度であった頃に、会社内のあらゆる組織が、同じ重要な課題に全力で取り組むようにするための経営管理手法として教えたのが、OKR。グーグル以外の会社や組織でも効果が出ているため、今、注目を浴びています。

このOKRのエッセンスは、ボクの解釈では、いかに行動を促すかに尽きます。行動を起こさなければ、良い結果も悪い結果も得られないから。悪い結果が出ても、改善していくことで良い結果に変えることもできます。

こうした結果を得るためのOKRの特徴として、次の3つが挙げられます。

(1)目標(Objectives)は大きなものを設定する

ここで、10倍にして設定することが紹介されています。例えば、第1四半期で100人の顧客を得たいと考えるなら、1,000人の顧客を得るという目標とするのです。

これは、得たい未来から逆算すると言い換えることができます。現状からの延長では得られる成果も知れている。また、達成可能な目標しか設定しない状況も想定されます。

それらを打ち破り、また、まったく違うアプローチに考えを向けるには、この10倍思考は極めて効果的。

(2)主要な結果(Key Results)は、結果を得ると必ず目標が達成できるもの

「必ず達成」ですよ、ここ、大事なポイントです。設定したKRを得ると、目標が達成できるほどのマイルストーンにする点。

先ほどの例でいえば、1,000人の顧客を得るには、いくつかの行動を起こした結果が必要になります。見込み客を10,000人得るとか、見込み客からの成約率を5%高めるとか、具体的で測定可能な結果です。

こうした結果のうち、これを得たなら目標を達成できる、という結果を3から5個設定するのです。

(3)報酬とは結び付けないこと

「O」の10倍設定も、「KR」のマイルストーンも、高いパフォーマンスを出すためにリスクを伴った行動が不可欠です。リスクのため、当然、成功しないこともあります。

それにも関わらず、OKRを給与や賞与と結びつけてしまうと、マイナス評価とならないようにリスクを回避しがち。すると、目標が低く設定されてしまいます。つまり、高いパフォーマンスを出すという最大の目標とはかけ離れてしまうのです。

この3つ目の特徴は、経営者や人材開発担当が不勉強だと、つい、給与や賞与と関連付けてしまう。実務でOKRが積み重ねられてきた背景を知らないと、かえってパフォーマンスを下げる結果となることすらわからない。どのように人事評価すれば、従業員は高いパフォーマンスを出すだろうかと相反する状況に無知に挑んでいくことになりかねないのです。

 

そう考えると、経営者をはじめとしたリーダーは、常に勉強が必要なことがよく理解できます。自身もそうですし、大事なプロジェクトを任す人もそう。学びの姿勢が企業文化になっていることが最も大切。

だからボクらは学んでいきましょう、どこまでも。

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