もう半月もすれば、2023年3月期の決算の時期に突入しますね。当年度の改正の目玉のひとつといえば、有価証券報告書におけるサステナビリティ情報の開示の義務化。「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の柱に沿って開示していかなければなりません。
会計専門誌やウェブサイトには、この改正についての解説が増えてきました。そのため、改正内容を理解するフェーズはもう過ぎているはず。ところが、その先、どう書くかを考えるフェーズになると、ピタリと止まっているかもしれません。
特に、サステナビリティ情報の開示に関する好事例を見たなら、なおさらのこと。2023年1月31日に金融庁から「記述情報の開示の好事例集2022」がリリースされたため、これを参考にすることもあるでしょう。そこで開示されている内容の水準や記載のボリュームに圧倒されてしまっても不思議ではないからです。
■なぜ、英国企業はTCFD開示ができるのか
一方で、英国のプレミアム上場企業には、アニュアルレポートにおけるTCFD開示がすでに義務化されています。例の4つの柱による開示を求めているTCFD提言に基づき、気候変動に関する情報を開示しているのです。
英国企業のアニュアルレポートを見ていると、TCFD開示の記載ボリュームは、企業によって異なります。10ページ近くにわたるような充実した事例もあれば、見開き2ページ程度の簡素な事例もあります。もっとも、他の開示箇所を参照しているために記載が簡素となっている場合もあります。
いずれにせよ、ここで注目したいのは、どの企業も、4つの柱に沿って何らかの開示を行っている点です。記載ボリュームにかかわらず、開示そのものは行われているのです。おそらく、開示できていない企業は存在しないでしょう。
すると、ここで疑問が浮かぶかもしれません。なぜ、日本企業はサステナビリティ情報の開示に苦慮しているのに、英国企業は開示できるのだろうか、と。
さまざまな要因が考えられるものの、ひとつの大きな要因として、開示のためのガイドラインが役立っているものと推測されます。先行して開示している事例を分析するだけではなく、その結果に基づき、これから開示する企業に対して何を考えるべきかの質問まで示されているからです。
■サステナビリティ開示に必要なこと
そもそも、財務報告に限らず、「書く」ことを円滑に行うためには、書くための「素材」を集める必要があります。こうした素材を集めずに何かを書くことは、非効率なこと極まりない。まるで材料を揃えずに家を建てるようなものだからです。すると、書く前には素材集めが必要になります。
また、記載が充実した事例だけではなく、記載ボリュームが少ない事例も見ておくことも必要でしょう。そのような事例から、何を記載しているか、つまりは、どのような事項を外していないかが理解できるからです。家を建てる場合に、大富豪の豪邸だけを研究対象としていては、2階建ての戸建住宅はイメージできませんからね。
サステナビリティ情報の開示も、同じように、書くための素材を集める必要があります。この素材集めに、海外のガイドラインのような質問が役立ちます。また、先行する海外事例から記載ボリュームの少ないものを踏まえると、身の丈にあった開示がしやすくなります。
そこで、セミナーを緊急開催します。海外のガイドラインをベースに、2023年3月期の有価証券報告書におけるサステナビリティ開示の書き方を解説するセミナーです。
■緊急開催セミナーの概要
このサステナビリティ開示の書き方講座は、好事例集に圧倒された方々を対象として、次の内容に絞り込んで解説していくものです。
まず、多くの企業が開示するであろう「気候変動」と「人的資本」を取り上げていきます。いずれも海外のガイドラインを踏まえて、素材を集めるための質問にどのようなものがあるかが理解できるようになります。
次に、開示項目としては、「ガバナンス」と「リスク管理」に焦点を当てていきます。これらの開示は必須であるため、どの企業も逃れることができないからです。気候変動や人的資本について「ガバナンス」と「リスク管理」で言及することが期待されている内容がわかるため、書くための素材をより的確に集めやすくなります。
さらに、実際の書き方についてもヒントを提示していきます。例えば、「リスク管理」についての3つの記載の仕方が、すぐに思い浮かぶでしょうか。こうして、集めた素材をどのように構成していくかについてのイメージが持てるようになるでしょう。
■お得に、時短で、ヒントを得よう
セミナーで話す内容は沢山あるものの、このセミナーに参加される方々は、時期的に、あまり時間に余裕が持てない頃でしょう。そのため、セミナー時間は、いつもよりも短めの「2時間」で設定しました。受講しながら、書くための素材を挙げていく時間にできればと考えています。
また、受講費はいつもよりお得な水準に設定されています。制度改正の解説セミナーなら受講して得られる内容をイメージしやすいのに対して、その先の書き方を解説するセミナーの内容はイメージしづらいかもしれません。そこで、より安心して参加できる価格になっています。
サステナビリティ情報の開示にあたって、どう書くかを考えるフェーズでお悩みのときには、このセミナーから解決のヒントを得てみてはいかがでしょうか。