Career

無知にヘヴィメタル、ふいに笑み照らす

(記事にはプロモーションが含まれることがあります。)  

何でも、知っていると思い込んでいるのはモッタイナイこと。食わず嫌いと同じで、知らないのに知っていると思い込んで何かを避けているのは、世界が狭まります。

 ボクは中学生の頃まで、ハードロックやヘヴィメタルというジャンルが苦手だと思い込んでいました。いや、正直、嫌だと感じていた。そう、高校生になった春までは。

 1985年の春、NHKで画期的な番組が放送されます。それは、ボクにとって画期的、というだけではなく、おそらく世間にとっても画期的な番組。なんと、ハードロックやヘヴィメタルを解説する番組が、半年間、NHKの教育テレビで放送されたのです。その番組名は、『趣味講座 ベストサウンド』。

 そこで進行役を務めていたのは、キーボーディストの難波弘之サン。山下達郎サンをサポートするなど、知る人ぞ知るミュージシャン。また、その番組でアシスタントを務めていたのは、同じくミュージシャンの中村あゆみサン。ちょうど、代表曲の『翼の折れたエンジェル』をリリースした頃。

 この番組は、楽器の演奏が上手くなるためのもの。趣味講座というくらいですからね。そこで、バンドを始めた女性を呼んで、毎回、ゲストで招かれる一流のミュージシャンから手ほどきを受ける、という構成。難波弘之サンや中村あゆみサンが、その間を保つように解説を加えるという内容。

 何気なくテレビのチャンネルを回していたときに、たまたま、この番組を見つけました。当時、キーボードやドラムを触っていたことから、「何か、使えるテクニックでも知ることができるかな」の程度で、そのまま見続けます。

 そのときのゲストが、今でも鮮明に覚えています。それは、VOWWOWという、いわゆるハードロックやヘヴィメタルのバンド。どんなバンドなのかも知らずにいたため、「あ~、ヘビメタなんだ~」と少し引いた感じで番組を眺めていました。

 で、この番組では、ゲストのミュージシャンが実際に楽曲を披露するコーナーが設けられています。VOWWOWもそのコーナーで演奏したのです。その曲は、『HURRICANE』。そのイントロを聴いた瞬間に、その世界観に引きずり込まれていきました。もう、圧巻の一言。山本恭司サンのギターが、超絶なんです。

 しかも、ヴォーカルの人見元基サンが歌い始めると、これまた、とんでもない迫力。勝手に想像していたような、しゃがれ声でワーワーと歌うのかと思いきや、迫力がありながらも綺麗な声で歌うのです。まるで楽器のように声を操っている。この曲で一気にVOWWOWの虜になりました。あまりにも凄すぎて、笑みがこぼれていたんじゃないでしょうか。

 さらに、この番組の次の回にも、VOWWOWは出演しました。そこで歌ったのは、バラードの『LOVE WALKS』。歌い出しは静かに始まるものの、サビにきて猛烈に激しくなる。英語の歌詞だったにもかかわらず、その感情のうずまく様子がヴォーカルの表現力で伝わってくる。

 翌日にはレコード屋に走って、ファーストアルバム『BEAT OF METAL MOTION』とセカンドアルバム『CYCLONE』を入手します。そこからは、ずっとVOWWOW漬け。同じクラスにハードロックやヘビメタが好きな友達がいたため、毎日のように、VOWWOWの話や演奏のマネをしていたものです。

 NHKの番組にヘビメタのバンドが出演しているからと毛嫌いして、違うチャンネルにしていたなら、VOWWOWとの出会いはありませんでした。ハードロックやヘビメタの魅力も知ろうとせずにいたままだったかもしれません。あのときの出会いは、ボクの音楽生活を豊かにしてくれましたね。

 あなたにも、知っていると思い込んでいるものがありませんか。趣味のものでも、ビジネスのジャンルでも。その世界を、一度、本当に知ってみることをオススメします。学ぶことは、知らないことに気づくことと同じ意味。何でも学ぶ姿勢が、あなたの人生を豊かにします。強烈なギターのイントロで衝撃を受けた、高校生の春のように。

7月7日、七夕の誤解をキャリアに活かす前のページ

『劇場化社会』からプロフィールのヒントを学ぶ次のページ

関連記事

  1. Career

    プレゼンには「4は状況で、3は動き」の法則を

    千夜一夜物語は、ペルシャの王に妻が毎夜、物語を語る形式となっています…

  2. Career

    ベストセラーコードならぬ、ベストヒットコード

    ついに今日、2019年11月2日に決まりました。南アフリカ代表がラグ…

  3. Career

    『超魔術の裏技術』からセミナー構成を学ぶ

    せっかく、セミナーや研修の講師を務めても、参加者が何も学んでいない。…

  4. Career

    タイピングのスピードから見たキャリア

    子どもの頃に苦手意識があったものでも、大人になったら平気になるものが…

  5. Career

    色仕掛けのセミナー資料

     今日の仕事帰りは、雨にあたりました。雨が降るような天気予報ではなか…

  6. Career

    たった一言で、研修の参加者の関心を高める

    セミナーや研修の講師を務めるときに、もっとも寂しいこと。あなたが社内…

  1. FSFD

    TNFDアーリーアダプターを数以外で分析してみると
  2. Accounting

    CFO56歳と会計士41歳の会話
  3. Accounting

    もう、制度会計に気候変動は関係ないとは言わせないセミナー
  4. FSFD

    サステナビリティ開示の国内基準に備えるセミナー
  5. FSFD

    温室効果ガス排出削減コミットメント、IFRSが会計基準の解釈を示す
PAGE TOP